未来のために6

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    「…………」 五人の間に緊張と疑いが走る。 亜季の話ではすでに『呼応者』は記憶を取り戻しているはずなのだ。 「……ふう」 淳司が吐息をつき、俯く。 四人の視線が集中する。 「……ん?どうした?」 しかし、彼は緊張感のかけらも見せずに面を上げて問い掛ける。 「……あんた、よくこの状況でリラックス出来るわね」 亜季が非難するような眼差しで淳司を詰問する。 「じゃあよ、緊張したらこの状況、解決できんのか?」 淳司は椅子に体重をかけ、両手を頭に回した。 ぎい、とパイプ椅子が鳴る。 「むしろ逆なんじゃねえの? こんな状態じゃ、『呼応者』だって名乗り上げれねえと思うんだけどな」 「…………」 五人の間を包むのは例え様の無い重い沈黙。 「それに、俺は皆を信じている。何も失う事無く、必ず『日常』に戻れるって。ちゃんと言ってくれるさ、『呼応者』は」 彼は自信に満ちた声で呟く。 のんびりと椅子に体を預け、淳司は眼を閉じる。 「……君は大人物だよ、淳司君」 総司は呟き、頭を振りながら微笑む。 「僕なんかより、よっぽど財閥の跡取に向いている」 彼の声に反応して四人が注視するが、彼の表情には変わらず微笑みがある。 「まあ、僕は僕なりに精一杯やるだけだよ。この世界を抜け出した後は」 眼を閉じ、総司も会話を終えたという意思表示を行う。 「……アツシもソウジもすごいネ」 ジャックは溜息を吐き出し、両手をあげて呟く。 「……ボクにはとても出来ない芸当ネ」 淡々と語るジャック。 「……それでも、ドタバタ足掻くしかないのネ。逃げてばかりじゃ……眼を背けてばかりじゃ、駄目なのヨ」 視線を床に落とし、両手の指を組む。 「……参ったね」 亜季は自らの髪を掻き上げながら独白する。 「……みんな成長してるのに、私だけ成長できてないね」 息をつき、沈黙する。 時計の針が時を刻む音だけ鼓膜に響く。 「でも、これが私なんだ。自分を否定していても仕方がない」 天井に視線を移し、彼女は口を閉じる。
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