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もはや、翔子の蘇生は絶望的だ。
彼女の母親は翔子の名を錯乱気味に叫び続けるだけで、父親は何とか冷静であろうとしているものの、やはり顔は青ざめている。
かくいう総司も、組んでいる指先がかたかたと震えている。
(……もしも、彼女が死んでしまったら……)
今まで翔子を異性として意識したことはなかった。それだけに総司の動揺は大きい。
考えてみれば、それらしい節はいくらでもあった。バレンタインデーにはチョコを貰ったし、ジャックや淳司からは頻繁に『彼女は出来たか』といった内容の事柄を告げられていたし……
(……どうして……こんなことに……)
組んでいる手が汗ばむ。
「……ソウジ」
脇にいるジャックが心配そうに彼の名を呼ぶ。
ジャックの表情も不安に塗り潰され、総司を気遣うような余裕は感じられない。ただ、何も喋らずにいることの方が遥かに苦痛であったから何とか声を掛ける事ができたのだ。
しかし、ジャックの声が届かない程、総司は自らの思考に埋没していた。
これが幽体離脱というものなのか、とぼんやりとした意識で思考する。
何故今現在、自分がこういった状況に置かれているのかが把握出来ない上に、自分が何者であることすらも思い出せなかった。
思考を続け、何とか自分が何者であるかは思い出せたが、それ以上の事がどうしても思い出せない。
(……私は……どうしてこんな所にいるんだ?)
疑問を解く為に思考を纏め、回答を導き出そうとする。
(……そう、黒霧先輩にあって……それからなんか怪しげな儀式をして……)
どうして自分はそんな訳のわからないものを受けたのか?
(それは翔子を……)
「……そうだった!」
自らの目的を思い出した亜季はこれからどうするべきかを模索しようとする。が、その必要はなかった。どういう事か、幽体がどこかに引っ張られているのだ。
「引っ張られる先があの世と考えて差し支えないかな?」
史記の話ではここは『霊界』なのだから、そう考えていいはずだ。
問題はどうやって翔子を捜すのか、であるが……
「……考えていても仕方がない、か。たまにはあいつの考え方で行動してみるか」
引力の先に何かがあると踏んだ亜季はその力に身を委ねた。
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