未来のために6

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    その人物は夢を見る。 眼前には漆黒に身を包んだ人物。 声を掛けようとするが、声そのものがでない。 「……もう、時間がないよ」 それはその人物にとって死の宣告だった。 その人物の表情に死人のような暗さが宿る。 「……もう、時間は、ない」 呟き、黒霧史記は相対する者に語り掛ける。 「消しておいた記憶は、この世界の朝には元に戻しておくよ。お礼は私の正体を見破った人に言って置いて。物語を解いてくれないと、記憶とかはいじれないんだよ」 妖精界の掟でね、と黒霧史記は溜息をつく。 彼女に対する人物は何事かを呟く。 「うん、決断するのは貴方。それを強制する事は誰にも出来ない」 その人物は拳を白くなるまで握り締めている。 そして。 その人物は黒霧史記に向かって頭を下げた。 「お礼は良いよ。さっきも言ったけど、他の皆に宜しく言って置いて」 黒霧史記が立っている地点から、世界が、がらがらと音をたてて崩れていく。 その崩壊は留まる事を知らず、その人物の立っている地点にまでやってくる。 落ちていく。 どこまでも。 その人物は、どこまでも深い闇に落ちていく。 それはまるで。 その人物の行く末を暗示しているかのようだった
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